初心者としてクラウドワークスに登録後に、初めての案件獲得や、練習制作(前回記事「未経験者は必読!1件目のポートフォリオ実績の獲得方法」を参照)などによって実績となる制作活動をしたら、いよいよポートフォリオの登録です。
あとは必須項目を埋めてスクショなりを添付したらポートフォリオ完成!と喜ぶ前に、ちょっと待ってください。
せっかく労力をかけた実績ですから、余すところなく資産化できるように情報公開しましょう。
ここからは、見込み客であるクライアントに実績をしっかりアピールするための方法論をまとめていきます。
今回も具体策が書いてあるので、一読してみてください。
クラウドワークスにはもったいないポートフォリオがたくさんある
これまでランキング上位者を数百人以上見てきました。ランキング外のクラウドワーカーもたくさん見てきました。その中でポートフォリオの使い方が上手いなと感じたのは、ほんの一握りです。
多くの方はポートフォリオを使いこなせてはいません。
輝かしい実績も、見せ方1つで無味乾燥な情報の断片に成り下がります。本当にもったいないです。今回はそんな埋もれてしまった実績達を救うための救済企画、というと大げさですが、クラウドワークス初心者の方々に役立つポートフォリオ登録術をまとめていきたいと思っています。
少し前置きが長くなりました。ここまでが序文みたいなものです。ここからは記事本編に突入していきます。
ポートフォリオの詳細欄のテクニック
前回の記事でお伝えしたように、スクールの課題でも練習制作でも、晴れて実績を作ることに成功したら、ポートフォリオに登録しましょう。その具体策は以下のとおりです。
担当範囲を明記する
担当範囲、つまりは何をやったかを書くだけでは、クライアントには実績のすべては伝わりません。しかし、実は何をやったかを書くだけでもクラウドワークスではまともな方です。多くのポートフォリオでは、システムやアプリやサイトの名前と、使ったスキルと、スクショやURLがペロッと貼り付けられているだけです。
せめて、そのプロジェクトにおいて自分が担当した作業範囲を明記しましょう。
顧客の要望にどう応えたかを書く
何をやったかだけではなく、顧客からこういう要望があったので、その要望を満たすためにこういう機能を実装した、こういうデザインを設計した、こういうコーディングを心がけた、という一言があると素晴らしいです。
担当範囲まで書けたのであれば、その範囲でどういう姿勢を持って仕事をしたのかも伝えましょう。
特筆して書くことがなければ、やや精神論っぽくなりますが「丁寧なコーディングを心がけた」「お客様とコミュニケーションを取ってデザインを考案しました」といった当たり障りのない一言でも構いません。
かっこいいスクショだけでは伝わらないこともある
デザイン系の実績に特に多いのが、添付ファイルにペラっとスクショを貼ってるだけのものです。後述する「数で勝負する」場合は有効ですが、スクショだけでは伝わらないケースも考慮してください。
例えばウェブサイト制作であれば、クライアントがプロではない可能性も高いので、なんとなくかっこいいスクショを見ただけでは、あなたの凄さは伝わりません。
やはり顧客のどのような要望に応えて生まれたデザインなのか、ということを文章化する必要があるでしょう。
発注書などに記載されていた条件を転載する
顧客の要望と言われても、なかなか難しい……という場合は、発注書がヒントになります。
クラウドワークスでの仕事であれば、発注時に条件や成果物に対する意向が明示されていると思います。
それらを「顧客の要望」として転載しても良いでしょう。転載が差し障りのない場合のみですが、そうでなくとも多少内容を濁してポートフォリオの詳細欄に掲載します。
掲載した上で、「こういった発注を頂いたので、○○という点に留意して制作しました」と一言添えるだけでも、実績の裏に潜む制作ストーリーを(見込み客が)垣間見ることができます。
クライアントの声を掲載する
これはクライアントの協力が必要になりますが、制作物やプロジェクトにおける自身の振る舞いについて、案件修了後にクライアントにヒアリングしましょう。その際に、実績として声を公開してもいいか伺いましょう。
フリーランスでここまでやっている人は少ないですが、法人であれば顧客の声を乗せるのはよくある話です。ウェブサイトなどで度々見かけると思います。
公開できないとしても、必ず自分の仕事に対する評価をもらうことは大切です。ポートフォリオから話が逸れるので言及はとどめますが、フィードバックは積極的に集めましょう。
ちなみに捏造は論外です。既存客からの信頼を失うので利がありません。
能書きはどうすべきか
「このデザインでは黄金比で全てが構成されており……云々」「オブジェクト指向の良さを生かしてポリモーフィズムとカプセル化を徹底して……云々」といった能書きは書くべきでしょうか、書くべきではないでしょうか。
このあたりはどちらでもいいです。こういうプロっぽい解説が好きなクライアントもいます。なんのこっちゃ分からないと否定するクライアントもいます。どちらのクライアントに寄せていくべきか、見極めて言葉もチョイスしてください。
クライアントにウケるならどちらでもOKです。受注は正義です。
商品説明は少なめでいい
能書きは自分のスキルや見識の高さをアピールしているのでまだいいのですが、たまに制作したサイトで取り扱われている商品や、開発したアプリの説明を延々と書いているポートフォリオがあります。これは控えるべきだと思います。
自分が制作に携わり、思い入れがあることは分かりますが、ポートフォリオでは商品説明は最低限に留めましょう。
それよりも、自分が何をしたのかを書くことに注力します。あくまで自己PRの場です。
ビジネス的な観点からの商品説明ならまだアリ
商品のチラシと同じような説明書きなら上述したとおり無意味ですが、背景情報としてウェブサイトのコンバージョンが何か、ペルソナとしてこういうセグメントを想定しているといった情報を載せるなら、自分のプロジェクト認識力や知識量をアピールできるので、アリです。
あまり詳細に載せすぎるとクライアントからクレームが来る可能性もありますので、そのあたりは注意してください。
公開前にしっかり掲載許可をもらっておくと安心です。
自分の提案が採用された箇所などがあれば記載する
クライアントとのコミュニケーションを大事にしていることを伝える方法として、自分から提案して採用された点などを記載することも有効です。
クラウドワーカーからの提案を歓迎するタイプのクライアントには好印象でしょう。一方で、指示に従って欲しいだけのクライアントからは敬遠される可能性もあります。
自分と関係のないことは書かない
「このアプリを制作しました。顧客の年商が250%アップしました」というアピールがたまにありますが、あくまで自分が貢献したことはアプリ制作だけなら、顧客の年商が何%アップしたかどうかは不要です。
もし「課金に対してこういう機能を提案したことが当たったのか、売上げアップしました!」というように、自分と関わりが見えるような記述であるなら価値があると思います。
ポートフォリオの添付ファイル・参考URLのテクニック
詳細欄で色々なテクニックを使っている人が多いのは分かりますが、添付ファイルと参考URLでも色々なテクニックが散見されました。かなり使えるテクニックもあったので、紹介していきます。
添付ファイルに、スクショを登録する
1つの実績に対して3つまで画像ファイルを添付できます。ウェブサイトであれば、よくサイトのファーストビューのスクショを載せている人が目立ちます。アプリであれば、ストアに登録してあるスクショを転載している人が目立ちます。システム開発だとスクショがないケースも多いですが、仕方ないでしょう。
ウェブサイト制作の場合
デスクトップ版のスクショを撮っている人は多いですが、レスポンシブ対応していると思うので、せっかくならスマホ版のスクショも添付しましょう。ファーストビューだけでも、ページ全体でも構いません。
ページ全体のスクショがあると、全体的なデザインが観れてとても便利な半面、クリックして拡大しないと分かりづらいため、そもそも観てもらえない可能性もあります。
ファーストビューであればクリックしなくてもパッと見のデザインが伝わる点は優れています。
また、参考URLだけでは、将来的に改修されたり他者によってフルリニューアルされた際に、自分が作った作品の履歴としては使えないため、しっかりスクショを残しておきましょう。
添付ファイルに、ペーパープロトやワイヤーフレームなどを載せるのもアリ
こちらも顧客とのコミュニケーションを大事にしていることを伝えられる方法です。「顧客の要望をヒアリングしていき、最初は手描きで、次にワイヤーフレームで、最終的にデザインカンプを提供して丁寧な仕事をした」、というニュアンスを伝えるときは、設計資料などを添付することも有効です。もちろんクライアントの許可は必要です。
何を作ったかだけではなく、どう作ったかまで見せることが出来るため、仕事に対する真摯さをアピールしたい人は試してください。
ただしエンジニアの場合は、設計資料などには機密情報が含まれていたり守秘義務違反になりやすいので、この方法は不適切でしょう。
参考URLに、自分のレンタルサーバに保存しておいたモックアップを登録する
これはウェブサイト限定のテクニックです。ここで言うモックアップとは完成品とソックリなダミーのウェブサイトだと解釈してくださ
い。
これだとスクショだけではなく、実際にアクセスして操作感なども体感してもらえるため、非常に強力な方法です。
また、WordPressなどで制作した場合でも、モックアップであればセキュリティ問題などに悩まされずにアップできるため、管理面でも楽です。ウェブデザイナーであれば検討すべき優れたテクニックと言えます。
ただしクライアントの許可は必須でしょう。
参考URLに、発注ページのURLを掲載するという手もアリ
ちょうど上の画像で使われているテクニックですが、これはシステム開発やロゴ制作やライティングといった、適切な参考URLがないケースで非常に有効なテクニックです。
積極的に真似していきましょう。
参考URLに、YouTubeに操作感をキャプチャした動画URLを掲載する
ウェブサイトやシステムやアプリや、その他使用感や操作感を見せることで効果的な実績であれば、YouTubeに動画をアップロードして、そのURLを詳細や参考URLに指定することも効果的です。
この場合は別サイトに移動してしまうので、若干ストレスを感じるクライアントもいるかもしれませんが、「操作感を見てくれ!」というケースでは有効です。
ポートフォリオ的物量作戦
数で勝負するポートフォリオもアリ
詳細や概要は極力シンプルにして、スクショを貼り付けて大量に実績を掲載するというスタイルの人もいます。こういうスタイルも数が大量にあるなら有効です。
ちなみにこのhammさんは、名刺は必ず上のスクショのような体裁で統一して実績に掲載しています。
たくさん実績を公開するからこそ、公開作業のルーティン化は効果的です。ロゴ製作だけではなく、他の仕事でも真似できそうです。
ポートフォリオに掲載する実績を増やすコツ
実績を公開していいか顧客に聞くという方法があります。案件が始まる前や、案件の途中や、案件が終わったあとなど、タイミングは色々あります。これをしっかりやっている人は、フリーランスの中には少ない印象があります。
ただし、そもそも守秘義務違反になりそうであれば、聞くこと自体止めておきましょう。この場合は、クラウドワークスのポートフォリオは登録会員以外でも閲覧可能なので、当然実績としても公開はできません。
実績として公開していい場合は、次のことを聞いてみましょう。
- クライアント名も載せていいか(公式サイトのURLなども含む)
- 載せたいと思っている内容を念のため確認してもらえるか
- もし可能であればクライアントからの一言などをいただけないか。または評価時にコメントをくれているなら、それを転載してもよいか
これらをしっかりヒアリングしておきましょう。実績を余すところなく資産にするには、ここまでやる必要があります。
交換条件としても使える
これは初心者用のテクニックからはズレますが、交換条件として実績公開を求めるという方法も紹介しておきます。
仕事を続けていると、契約締結前に何らかの譲歩を求められることもあると思います。代表的なのは割引ですね。あとは瑕疵担保期間を伸ばしたり、修正回数の上限を増やしたり、急ピッチでの納品を求められたり、相手の社内ルールに合わせる動きを求められたり、日時進捗を求められたり……けっこうたくさんありますね(笑)
こういうときに、交換条件として実績の公開を許可してもらったり、クライアントの声を最後にインタビューさせてもらったりといった提案をします。このあたりはコミュニケーションスキルに大きく依存するので、自分の判断で「交換条件出しても平気かも」と思えたタイミングで切り出すことを推奨します。
念のためもう一度書いておくと、そもそも実績公開が守秘義務違反になりそうな場合は自粛しましょう。
ポートフォリオでやってはいけないこと
いいことだらけのポートフォリオですが、初心者だとついついやってしまいがちな罠もあります。ここに書いてあることをやってしまうと、逆効果の落とし穴になりますので、要注意してください。
おおざっぱにまとめると「相手に不信感を抱かせる行為は慎む」ということになります。1つずつカンタンにまとめておきます。
許可を得ずに経歴を勝手に実績として公開する
これは実は横行しています。就職活動などの非公開の場では、過去の案件について許可なく提示することは、暗黙の了解で許され気味です。ただ、クラウドワークスのような誰でもアクセスできるページに公開することは、本当は控えてほしい(または厳禁している)クライアントもいます。公開しても何も怒られていない場合は、たぶんバレてない・見つかってないだけです。
実績としてパブリックな場に掲載したいのであれば、発注元に伺うか、しっかり固有名詞や業務内容などを伏せましょう。それらを伏せても、あなたが何をどう工夫したかを抽象的に伝えることは可能なはずです。
ちなみに掲載する許可を得て「掲載許可を頂いています」と書いてあると好印象ですが、1件にでも記載したら全件にないと逆に不信感を与えます。ポートフォリオ全体としての整合性にも注意しましょう。
「公開してもいいけど名称は伏せて」というケース
これはよくあります。会社名やプロジェクト名などを伏せてくれるなら、実績として公開してくれて構いませんよ、という場合です。そうであるならしっかり伏せましょう。
クラウドワークスで受注した案件
発注が公募だった場合は、受注したワーカーの情報などがすでに公開されているので、とくにヒアリングなしでポートフォリオに公開しても怒られない可能性は高いです。
心配な人は念のため聞いておきましょう。
著作権の無視
近年、著作権は法律の改定もされて、スーパー厳しくなっています。絶対に止めましょう。ただ、ポートフォリオにサイトのスクショを掲載する行為は暗黙の了解で、特に何か言われる可能性は低いでしょう。もちろん実績として公開していい前提です。
ポートフォリオではないですが、実はトップランカーの中にも著作権を無視してプロフィール画像に有名キャラを使っている人はいます……。著作権を侵してまで得られる利はないと思うので、止めましょう。そのキャラが好きなら好きなほど、権利は守ってあげたいはず。
ちなみにデザイナーやイラストレーターなら自作したものをプロフィール画像にしている人が多いです。「(デザイナーやイラストレーターにとって)プロフィール画像は最初に見られるポートフォリオ」とは誰かの名言。
担当範囲をごまかす
あるサイトの一部を改修したケースでも、そのサイトを制作したような説明文を書いてしまうケースがあります。意図していないかもしれませんが、しっかり担当範囲は書いておきましょう。無駄にクライアントの期待値を高める可能性があります。
全てを担当した、というケース
また、すべての工程を担当したとしても、しっかり担当範囲を書いておくと効果的です。「書かなくても分かるか」と思わないでください。書かないと分からないものです。
例えばウェブサイト制作でも、すべての工程を担当したというのが、企画から納品後のプロモーションに至るまで全てなのか、それともペーパープロトからワイヤーフレームやデザインカンプの作成からコーディングまでを以って「すべて」と呼んでいるのか、クライアントからは何も分かりません。せっかく全てを担当したのであれば、その範囲を明記しておきましょう。
あるジャンルを少し担当したケース
例えばクライアントから「SEO対策としてタイトルを○○にしたい」と言われて対応したことから「SEO対策も対応した!」とポートフォリオに書いてもいいものでしょうか。タイトルへの施策は立派な内部SEO対策ですが、もし「SEOにも対応した」とポートフォリオに明記したら、SEOのプロです、と言うことと同義です。
そう思われても構わない、むしろ自信あるから思われたい、ということであればせっかく作業チャンスに恵まれたわけですから、書いてしまってもいいかなと思います。
守秘義務違反
何度目かの指摘ですので、簡潔に。守秘義務違反には気をつけましょう。
まとめ
ポートフォリオの登録方法を見てきました。
ところでポートフォリオの数はどこまで増やすべきでしょうか。答えはありませんが、多くなればなるほど、全部をしっかり見てもらえる可能性は下がります。
数で勝負するタイプのポートフォリオでなければ、10件前後あれば十分な印象を受けます。その10件の実績をしっかり作り込みましょう。
また、通常であれば契約金額が低い案件は値段相当のクオリティでの納品になりますが、初心者のときは(時間があるなら)全力でクオリティを高めて納品しましょう。
なぜなら、ポートフォリオに載せることを考えると、クオリティが高いほど有利だからです。
実績登録する際はこの記事を参考にして、自分なりのポートフォリオを完成させてください。時間と労力を費やした、せっかくの実績です。適当に扱うのはもったいない。